オンラインミニ中国語講座1110 料理しないのに市場が好き？——若者が“菜市場”に夢中な理由

2025/11/04
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「市場」と聞くと、料理をする人が買い物に行く場所だと思われがちですが、今の中国では違います。実際には料理をしない若者たちが、観光や散歩のような感覚で菜市場（食材市場）に足を運んでいます。彼らはこの行動を「market walk（マーケット散歩）」と呼び、「city walk（街歩き）」の延長として楽しんでいます。
例えば、厦門出身の28歳の女性・雪旺さんは、新しい都市に行くたびに必ずその街の市場を訪れます。スマートフォンには各地の市場写真が何百枚も保存されており、市場を通じてその土地の空気を感じるのが旅の醍醐味だと語ります。海鮮が豊富な厦門、地元グルメが並ぶ福州、南国の果物があふれる雲南——市場はまるで“地域の教科書”のような存在です。
一方で、実際に料理をしなくても、若者たちは市場での体験そのものに価値を見出しています。北京出身の慧慧さんは、南寧の市場で野菜の調理方法を親切に教えてくれる店主との会話が楽しいと語り、たとえ家で調理しなくても満足感を得られるといいます。また、95年生まれの西柚さんは、何も買わずに歩くだけでも心が落ち着くと語り、それは「公園を20分歩いたときのような効果」に似ていると表現しました。
こうした若者の流れに合わせて、各地の市場も変化しています。北京や上海、杭州などでは、清潔感のあるデザインやカフェの併設など、買い物とレジャーの境界が曖昧になってきました。中でも昆明の大観篆新農貿市場は、祝日には一日で10万人が訪れる観光名所になり、そのうち半数は外地からの観光客だそうです。
ただし、この“市場の観光地化”には賛否両論もあります。あまりに観光客向けに変わりすぎると、地元の人のための生鮮市場としての役割が薄れてしまう恐れがあるからです。市場の“本来のにおい”や“地元の暮らし”を守りつつ、訪れるすべての人が心地よく感じられる空間づくりが、これからの課題となっていくでしょう。
料理をしなくても、“人間味あふれる場”に触れたい——。
それが、今の若者たちが市場に惹かれる本当の理由なのかもしれません。
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