オンラインミニ中国語講座1101 売れることは良いこと？——抗うつ薬の“人気”が意味する本当のこと

2025/10/31
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近年、中国では抗うつ薬の売上が急増しています。これは、多くの人が精神的な不調を「隠すもの」ではなく、「治療すべき症状」として受け止めるようになってきた結果でもあります。実際、抑うつ障害を抱える人はすでに1億人に達し、公立病院での抗うつ薬販売額は2023年に90億元を超えました。オンライン薬局でも、ある薬は月に10万件以上売れるなど、爆発的な需要があります。
しかし、このような数字の裏には、社会全体が抱えるストレスの深刻さがあります。
若者は家や安定した職を求めて過労気味になり、中高年はリストラの不安と向き合い、高齢者は孤独と戦っています。抑うつ症状はもはや特別な人のものではなく、「心の風邪」とも言えるほど誰にでも起こり得る状態になっているのです。
確かに、薬の価格が下がったことで、患者は服薬を継続しやすくなりました。しかしその一方で、心理カウンセリングは費用が高く、質にもばらつきがあります。そのため、多くの人が「薬に頼るしかない」という状況に置かれています。一部の患者は薬をやめると禁断症状が出るため、生涯服薬を余儀なくされることもあります。これは、薬物治療が進んだことの裏で、心理的なサポート体制がまだ不十分であることを示しています。
とはいえ、抗うつ薬の売上増加にはポジティブな側面もあります。かつては「精神的な問題を話すのは恥ずかしい」とされていた風潮も、少しずつ変わってきています。現在では、「病院に行って話を聞いてもらおう」と考える人が増え、社会全体が心の健康を受け入れ始めていることは確かです。これは、社会の成熟を示す前向きな変化でもあります。とはいえ、薬だけに頼るのは解決策とは言えません。
薬、心理ケア、そして社会的な理解と支援の三本柱がそろってこそ、真の意味での“心の健康”が実現できるのです。抗うつ薬がよく売れる時代だからこそ、私たちは“なぜそんなに薬が必要になったのか”を問い直す必要があります。
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