オンラインミニ中国語講座1058 「無料で麺おかわり」事件が炎上した——ルールより感情が優先される時代に

2025/09/05
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ある日、河南省・鄭州の麺料理店で、3人の女性と4人の子どもが食事中に2度の「麺の無料おかわり」を依頼しました。2回目の注文の際、店員が「子どもも食べるのか」と確認したことが発端となり、口論が発生。最終的には、当事者同士が法廷に持ち込む事態にまで発展しました。
法律的に見れば、無料の「おかわり」は「一人前を注文した人」に限られるのが一般的です。火鍋店などで「小皿1つを複数人でシェアしながら無限おかわり」は認められていないのと同じです。専門家の見解も、「複数人の共有はルール違反」として店側の対応を支持するものでした。しかし、ネット上の反応はまったく違う方向に進んでいきました。多くの人はルールの是非ではなく、「子ども連れだった」「合計140元も支払った」といった情緒的な情報に強く反応しました。「それだけお金を払っているなら、ちょっとくらいおかわりしてもいいのでは？」という意見が主流となり、“ルール”はすっかり脇に置かれてしまったのです。
さらに問題を複雑にしたのが、店主の行動でした。彼は、口論の様子を撮影した動画を加工せずに公開し、子どもたちの顔もそのまま映っていたため、「未成年の肖像権を侵害している」と激しい批判を浴びました。そこから、過去の労働問題やトレーニング詐欺といった“黒歴史”も次々と暴露され、もはや“麺のルール”どころではない展開に。
ネットの舆論は往々にして、事実の積み重ねではなく、“印象の一括評価”に傾きます。「Aは正しいが、Bは間違っている」ではなく、「この人は嫌い」「この店には行きたくない」といった感情的な判断が支配的です。今回も、「ルールとしては正しい」が「態度が悪い」「信頼できない人」というイメージが広がり、最終的には店舗の信用が崩れていきました。
この事件から見えてくるのは、「ルールを守っている＝正しい」ではないという現実です。とくに消費者と直接向き合う店舗や企業にとっては、態度や発信の仕方がルール以上に重要になることもあります。論理よりも感情が優先されるSNS時代において、私たちは何を“正しさ”と呼ぶのか——この問いが、いま改めて突きつけられているのです。
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