オンラインミニ中国語講座966 日中カフェ・夜バー”ブームの終焉

2025/07/21
中国では近年、「日咖夜酒（日中はカフェ、夜はバー）」という営業スタイルが一世を風靡しました。一つの店舗で昼と夜を使い分け、客層も利益も2倍に——理想的に見えたこのモデルが、いま急速に閉店ラッシュを迎えています。「早C晚A（朝はCoffee、夜はAlcohol）」というトレンドも、いまや過去のものになりつつあります。
たとえば2023年に重慶で開業したある店舗は、50万元を投資して日中はコーヒー、夜はカクテルを提供するコンセプトで始まりました。しかし、1年経っても黒字化できず、来客は想定の半分以下。夜にはわずか2〜3組しか入らず、家賃と人件費のプレッシャーに耐えかねて閉店しました。浙江、成都、広州などでも同様のスタイルを採っていた店舗が次々に方針転換、または閉業しています。
このモデルが失敗した背景には、いくつかの構造的課題があります。第一に、カフェとバーでは求められる空間の雰囲気が全く異なる点です。カフェは明るく落ち着いた空間を、バーは暗くて社交的な雰囲気を重視します。一つの店舗で両立しようとすると、どちらの顧客層も満足できず、「中途半端」と感じられてしまいます。
第二に、商品ラインナップの広さが逆効果となっています。コーヒー、クラフトビール、デザート、軽食などを幅広く揃えたものの、どれも専門性に欠け、「専門カフェで飲んだ方がいい」「酒ならやっぱりバーで」という意見が増えました。メニューが広がるほど、店舗のアイデンティティが薄れてしまったのです。
さらに、SNSで人気になったことで「映え目的」の来客（＝一度限りの撮影客）が増え、リピーターが育たなかったという構造的課題もあります。“話題性”だけに頼るビジネスでは、長期運営は困難です。
とはいえ、このモデルそのものが完全に否定されたわけではありません。スターバックスなど一部の大手は空間設計やブランド力を活かし、小規模ながら展開を継続しています。しかし、資本も経験も乏しい中小規模の個人経営店がこのモデルを真似るには、あまりにもハードルが高いと言えます。
結論としては、「二つの業態をやるには十倍の労力が必要」。中小商家にとっては、シンプルで明確な専門性を追求する方が、長期的には持続可能な生存戦略となるのかもしれません。

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