オンラインミニ中国語講座970 1日3000杯完売の“去茶山”

2025/07/23
2025年6月、貴州省貴陽発の茶ドリンクブランド「去茶山（チャシャンへ行こう）」が杭州に1号店をオープンしました。開業初日には、モバイルオーダー上で3000杯以上の注文が殺到し、SNSでも大きな話題となりました。「地方の味」と「高速提供」の両立が新しいスタイルとして注目されています。
このブランドの特徴は、貴州の地域性を前面に押し出している点にあります。原料には銅仁抹茶、刺梨（サンザシ）、干酪入りのプーアル茶など、他の新茶飲チェーンでは見られない素材を使用。また、店内の内装も黒と木材色を基調とした「山の中の茶屋」を思わせるデザインで、若い世代の“体験志向”に応える空間になっています。
ただし、爆発的ヒットの真の理由は、優れた製造効率とオペレーション体制にあります。多くのネット話題型ブランドは「数量限定」で希少性を演出しますが、去茶山では開放型アプリ予約と1時間に最大400杯という高回転を実現し、行列を捌ける設計がされています。これは原料の標準化（果肉ではなく原漿の使用）と、細かく分担されたスタッフ体制によるもの。注文、製造、パッキング、引き渡しまでがすべて流れ作業のように効率化されています。
さらに「貴州特産のお菓子販売」や「地域ストーリーの掲示」などにより、文化的アイデンティティも訴求。客単価や滞在時間を自然に伸ばす仕掛けが随所に盛り込まれています。この“文化×商品”の融合が、他ブランドとの差別化要因となっています。
しかし、課題もあります。実際、同ブランドの重慶や貴陽の既存店ではオープン直後の熱狂が落ち着くと、客足が激減する傾向が見られています。これは「話題性先行型ブランド」に共通する課題であり、真にリピートされるブランドになるには、味・価格・体験の総合バランスが求められることを示しています。
去茶山は現在、全国展開には慎重な姿勢を取っており、ハイエンド商業施設を中心に限定出店を進めています。それによりブランドの希少性と品質の維持を図っているのです。市場全体を見ると、新茶飲業界は「話題性」から「品質競争」へと転換期を迎えています。今後は、“記憶に残る味”や“ストレスのないサービス”がブランドの生存を左右する時代に入っていくと考えられます。

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