皆様、今までの人生の中で、何事が運命を変えたと感じていましたか?結婚?出産?ファーストキャリア?実は中国人にとって、大学入学試験は運命を変えられるもっとも重要な存在であり、以前から有名な中国語の言葉“知识改变命运”(意味:「知識は運命を変えることができる」)があります。理由は2つと考えられます。一つ目は、大学の学歴は就職活動で決定的な役割を果たせます。中国の人気会社の書類選考では出身校だけを見ることが多いそうです。二つ目は、いい大学に通えることになりますと、将来の成功につながる人脈が作れます。いい大学であれば、優秀な同級生に出会う比率が高いわけです。そのために、中国人の親たちは惜しまずに力を尽くして子供をいい大学に通わせています。
皆さんは中国人の「センター試験」らしきものを覗いてみたくありませんか。それでは、今日は現代の中国人にとって人生最初の試練――中国語名「高考」を紹介していきたいと思います。
今の「高考」は文系と理系に分けられ、各地域は独立に出題し、毎年6月上旬に省の単位で筆記試験を開催します。受験科目と受験内容は省により異なり、出願できる大学数もばらつきです。7月上旬に、「高考」終了後に、生徒は自分の成績と目標学校の過去合格基準点に基づいて、出願期間内に入学を申し込みという仕組みです。
ところで、「統一試験」と呼ばれていますが、違う地域の生徒は同一大学に合格できるスコアは違います。例えば、経済が発達していない地域出身の生徒はより低めのスコアでいい大学に入学ができます。これは中国では地域の格差が大きくて、全国範囲で同じような教育資源を獲得できないため、相対的な公平性を考慮した結果です。例えば、年収が高い富裕層は当然に収入が低い人より品質がよい教育資源を簡単に入手できます。よくない教育環境の中で育った学生なら、トップ大学に合格できる可能性も明らかに少ないからです。
「高考」の歴史を振り返ってみましょう。1952年に高校卒業生に向け、「全国普通高等学校招生入学考試」という全国統一試験がはじめて行われました。この全国範囲で行われる試験のことを「高考」と略称します。「高考」は1966年―1976年の間に、文化大革命の原因で一度中止になり、1977年に再開しました。下記の表は1977年から「高考」の参加人数、合格人数と合格率を示すものです。わずか40年の間、参加人数と合格人数は年々劇的に昇っていることがわかります。
時間(年) |
参加人数(万人) |
合格人数(万人) |
合格率(%) |
1977 |
570 |
27 |
4.7 |
1990 |
283 |
61 |
21.6 |
2000 |
375 |
221 |
58.9 |
2010 |
957 |
657 |
68.7 |
2016 |
940 |
771 |
82.1 |
2017 |
940 |
700 |
74.5 |
大学生人数は多くなっているのがめでたいことですが、近年いろいろな問題で社会的な注目を集めています。例えば、募集人数の激増は大学学歴の珍しさをなくしています。例えば、大学出身の人は増えていることは採用企業にとってただただ喜びしかありませんが、生徒にとってライバル数が増えていて、何か対策を取らないと。就活市場で優位を取るには、より高学歴に賭けなければなりません。すると、高学歴人数の増加により、さらに競争が激しくなっていきます。
当塾の中国語先生たちの出身地はバラバラで、皆さんに聞いてみたところ、彼女たちは当初「高考」を受けるために頑張った日々を思い浮び、いろいろ喋りました。そして筆者は各省の学習密度は全然違うことに気づきました。山東省は「高考大軍」として知られていて、生徒は一番辛くて、毎日山ほどの宿題と模擬問題の用紙が積もっていたそうです。雲南省の生徒は普通に高校三年を過ごし、死ぬほど勉強してなかったのに、山東省の生徒に100点ぐらいの差があっても同じ大学に入れますなどなど。
センター試験の日が迫ってくると、わが中国語教室周辺の大手書店まで「センター試験まで後○○日」が掲示板に書かれ、通りかかるだけですごく緊張感が感じています。思わず心の底から受験生の皆さんに「頑張れ」を言ってあげたいぐらいです。でも、人生の試練は入試試験だけではありません。いい大学に入れるために入試試験を受けていたかもしれませんが、その後の人生の中で、どんな挫折と失敗があったとしても、大学に合格するために頑張った自分を思い出すと、また勇気が湧いてきて前に進めることができたら、それこそ入試試験の醍醐味ではないでしょうか。
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